
今回は、こんな質問をいただきました!
[mathjax]

\( ab(x – y) + a(y – x) \) を因数分解してください

最近は、因数分解関係の問題をよく聞かれるんですが、
この問題も、そのようですね。
というわけで、先生!お願いします~

ザピエルくん、ありがとう
今回は、因数分解の問題じゃのう。
ポイントは、
『共通因数(きょうつういんすう)でくくる』
になりそうじゃ。

「共通因数」とか、「くくる」とか、イマイチわからないんです!

なるほど!
それじゃあ、そのへんから理解できるように解説しようかのぉ

はい!お願いします!

というわけで、今回の記事をよむことで、
「共通因数」や「くくる」を理解でき、
これらを使った「因数分解」ができるようになるわけですね。

そのとおりじゃ!
では、はじめよう
【数学 質問解答】因数分解の難問(共通因数をくくる問題)【中学数学 中3 因数分解】(質問ありがとうございました!)

まずは結論からまとめておこうかのぉ
「 \( ab(x – y) + a(y – x) \) を因数分解してください」
の解答としては、
\( ab(x – y) + a(y – x) \)
\( = ab(x – y) - a(x – y) \)
\( = a(x – y)(b-1) \)
と計算すればオッケーじゃ
答えには、\( a(x – y)(b-1) \) を書けばいいわけじゃな

こんなにかんたんに解けるのですか!
でも、どうやってこうなるのか、サッパリわかりません・・・

そうじゃな
解答などをみればわかるし、カンタンそうでも、
中身をシッカリ理解して解けているかはどうかは、別問題なんじゃ。
中身を理解していないと、わかったつもりになってしまい、
結局のところ、応用ができなかったりもするもんじゃ。

シッカリ理解して、応用できるようになりたいです!

よろしい!
そのためには、1つひとつ、きちんと理解することが大切じゃ
いっけん遠回りに思えるかもしれんが、
1問をじっくり理解することは、とても大事なんじゃ

わかりました!ジックリ教えてください!
「共通因数でくくる」とは?

では、解説をはじめようかのぉ
まずは、『共通因数でくくる』についてじゃ。
これについては、くわしく解説した記事があるんじゃ。
まずはそちらを読んでシッカリ理解してもらえるかのぉ
おーい、にゃんこくん、その記事を教えてくれるかい?


ありがとうございます!読んでみます!

読んでもらって、「共通因数」や「くくる」について、
わかった!
と感じたら、以下の内容を読んでくれ。
もし、これらの言葉がわからないなら、
まずは、上の記事をシッカリ理解する方が先決じゃ。いいかな?

わかりました!

では、今回の問題を考えてみようかのぉ

ab(x – y) + a(y – x) を因数分解してください、です

ではまず、この式について、こまかく見ていくことにしようかのぉ
式を分析する力をやしなってほしいんじゃ。
「項(こう)」とは?

まずは、この式の「項(こう)」を考えてみてほしい。
わかるかのぉ?

「項」ってのが、イマイチわからないんです・・

なるほど
お~い、にゃんこくん、
「項(こう)」の解説記事をおしえてあげて~


項について、自信がなかったら、まずは上の記事でシッカリ理解するのじゃ。
項の考え方は、とても重要じゃ。
ぜひ理解するんじゃぞぉ

では、話を問題に戻すかのぉ
問題はこれじゃったな
\( ab(x - y) + a(y - x) \)
まずは、この式の「項」を考えておったんじゃ。

えっと~、
項って、+とか-のとこで区切ってバラバラにしたそれぞれのものですよね?
ってことは、
\( ab(x - y) + a(y - x) \)
の+とか-のとこで分解すると、
\( ab(x \)
\( y) \)
\( a(y \)
\( x) \)
の4つですか?

項については、正しく理解しておるようじゃな。
だけど、この分け方はまちがいなんじゃ。
まちがった原因は、項の知識ではなくて、
もう1つ、別のことを知らなかったからじゃ

え?どういうことですか!?
「項」を考えるときに、注意するポイントとは

たとえば、
3(x+2) + 5a
という式があったとするぞ。
(x+2)は、( )に包まれておる
だから、「1つの文字のように扱う」という考え方があるんじゃ

つまり、3(x+2) + 5a という式は、
3X + 5a
のような式と同じだとみなして「項」を考えるんじゃ
3X+5a の項はどうなるかな?

+のとこで切るので、項は 3X と 5a の2つですか?

そのとおりじゃ
( )は1つの文字のように考える、これがポイントじゃな
これをふまえて、
3(x+2) + 5a
の項を考えてごらん

そのとおりじゃ!
( )の部分は、1つの文字とみるわけじゃ

あ!そうすると、項は、3(x+2) と 5a の2つですね!

そのとおりじゃ!
( )の部分は、1つの文字とみるわけじゃ
共通因数のみつけかた

では次の質問にいってみるかのぉ
それら2つの項に「共通因数」はあるかね?

えっと~
因数って、かけ算でつながったとこで切って、
切れたそれぞれのモノのことですよね?

そのとおりじゃ

\( 3(x+2) = 3×(x+2) \) だから、
\( 3(x+2) \)の項の因数は、\( 3と(x+2) \) が因数ですよね?
\( 5a = 5 × a \) だから、
5a の項の因数は、5 と a が因数!
ということは、これら2つの項に共通する因数は・・・
ない?
でいいんですか?

そのとおりじゃ
この問題では、共通因数はない、ということになるんじゃ。
いじわるな質問だったかのぉ、すまんすまん。

ここで覚えておいてほしいポイントは、
「( )に包まれたところは、1文字のように考える」
なんじゃ。
これをシッカリ理解しておくのじゃ。
では、質問のあった問題にもどってみるかのぉ

問題はこれじゃな。
\( ab(x - y) + a(y - x) \)
まずは、この式の「項」についてじゃ

えっと~
( )は、1つの文字のように考えるんですよね?
そしたら、\( ab(x - y) + a(y - x) \) という式は、
\( abX + aY\)
のような形ですよね。
ということは、+のところで切って、
項は、abX と aY になる。
そうすると、元の式の項は、
\( ab(x - y) \) と \( a(y - x) \) の2つですか?

大正解じゃ!
では、そららの項に、「共通因数」はあるかね?

えっと~
\( ab(x - y) \) は、 \( a×b×(x - y) \) なので、
因数は、 \( aとbと(x-y) \) の3つ。
\( a(y - x) \) は、 \( a×(y-x) \) なので、
因数は、\( aと(y-x) \) の2つですね。
なので、共通因数は、「a」ですね!

そのとおりじゃ
ただしこの場合、もう1つあるんじゃよ

え?もう1つあるんですか???
共通因数をみつけるときの、注意点とは

\( (x – y) \) と \( (y – x) \) に注目してほしいんじゃ

え?どういうことですか?

\( (y – x) = - (x – y) \) と変形することができるんじゃ
すると、
\( (x – y) \) と \( - (x – y) \) について考えると、
\( (x – y) \) も共通因数になるわけじゃ

あ!たしかにそうですね!
でも、 どうやって、
\( (y – x) = - (x – y) \)
と変形したのですか?

その点を解説するかのぉ
わかる!ってあなたは、下にサーっと進んでくれればオッケーじゃ
加法の交換法則

まず、 \( y - x = - x + y \) とも書けるじゃろ。
たし算やひき算は、順番を入れかえもオッケーじゃからな。
(これを「(加法の)交換法則」ともいうんじゃ)
マイナスの記号は、-1をかけることと同じ

さらに、-の部分に注目すると、
\( - x + y = (-1) × x + y \)
とも書けるんじゃ
マイナスの記号は、-1をかけることと同じなんじゃな
それを使っておるわけじゃ

なるほどです!でも、なんの意味があるんですか?
「数字をたす」は、「符号が反対の数字をひく」と同じ

これはもう少し変形できるんじゃ
\( (-1) × x + y = (-1) × x - (- y) \)
+y を -(-y) に変えたんじゃ

あ、たしかにそうですね!
でもこれ、なんでこうなるんですか??

たとえば、
「3キロ増えた」というのは、
「-3キロ減った」というのと同じ意味になるじゃろ?

他にも、
「北に5キロ進む」というのは、
「南に-5キロ進む」というのと同じじゃ。
このように、
「数字をたす」ということは、
「符号が反対の数字をひく」ことと同じなんじゃ

わかるような、わからないような(笑)

だいじょうぶじゃ
でも、このへんをシッカリ理解するのは、入試などでも大切じゃぞ
お~い、にゃんこくん、解説記事を教えておくれ


ありがとうございます!

では、話をもどすとするかのぉ
\( (-1) × x + y = (-1) × x - (- y) \)
をさらに変形していくと、
\( (-1) × x - (- y) = (-1) × x - (-1) × y \)
となるんじゃ。

ふくざつですね~・・

(- y) の部分だけみてごらん
「-」 は「 (-1)をかけ算することと同じ」を使って
\( (- y) = (-1) × y \)
としたわけじゃ

あ、なるほど!
\( - x + y = (-1) × x + y \)
と同じことをやったんですね!

そのとおりじゃ
「くくる」は、分配法則の逆

するとじゃな、
\( (-1) × x - (-1) × y \)
という式は、(-1)を共通因数にもっておるじゃろ?
なので、(-1)でくくることができるんじゃ
\( (-1) × x - (-1) × y \)
\(= (-1) × (x - y) \)
\(= - (x - y) \)
と変形できるわけじゃ
「くくる」というのは、分配法則の逆なんじゃな。

むずかしいですねぇ~
でも、なにをやっているかは理解できました!

なかなか頭をつかうじゃろ
こういう問題を良問というんじゃな
これで、
\( (y - x) = - (x - y) \)
の変形はわかってもらえたかのぉ

はい!

まとめておくと、
- 加法の交換法則
- 「ー」は、「(-1)をかける」と同じ
- 「数字をたす」は、「符号が反対の数字をひく」と同じ
- 「くくる」
の4つを使ったわけじゃな

これらをシッカリ理解すると、応用がききそうですね!

そのとおりじゃ
こういうところをシッカリやることが、
応用できるようになるポイントなんじゃ
複雑な式の共通因数をみつける

では、因数分解の話にもどろうかのぉ
\( ab(x - y) + a(y - x) \) の因数分解を考えておったんじゃ
因数分解するために、「共通因数」を調べていたわけじゃ

そうでしたね!話がいろいろ出てきて混乱しそうです(笑)

それもしかたないとことじゃ
頭をきりかえて、共通因数の話に集中してほしいのじゃ

はい!わかりました!

\( ab(x - y) + a(y - x) \) の共通因数はなんだろう?
を考えるんじゃが、
さっきの変形 \( (y - x) = - (x - y) \) を使うと、
\( ab(x - y) + a(y - x) \)
\( = ab(x - y) - a(x - y) \)
となるじゃろ?
2つ目の項のxとyの順番が変わってることと、
a の前の + が - に変わっておることに注意じゃ。

なので、変形した式
\( ab(x - y) - a(x - y) \)
について、共通因数を考えてみるんじゃ

えっと~
\( ab(x - y) - a(x - y) \)には、
\( ab(x - y) \) と \( - a(x - y) \) の2つの項がありますね。
それぞれ、「a」があるんで、共通因数は「a」ですね!

・・・
あ! もしかして \( (x - y) \) も共通因数ですか??

そのとおりじゃ!よく気づいたのぉ
\( ab(x - y) \) の因数は、\( a \) と \( b \) と \( (x - y) \) 。
\( - a(x - y) \) の因数は、\( a \) と \( (x - y) \) と \( -1\) 。
最後の -1 を忘れないように気をつけるんじゃぞ

すると、これらの共通因数は、
「 \( a \) 」と「 \( (x - y) \) 」じゃから、まとめて
「 \( a(x - y) \) 」というわけじゃ

なるほど!
複雑な式を、共通因数でくくる

共通因数がわかったから、
\( ab(x - y) - a(x - y) \)
を共通因数でくくってみてごらん

えっと~
\( ab(x - y) - a(x - y) = ??? \)
なんかむずかしいです・・・

ではヒントを出すぞ
それぞれの項で、共通因数以外を1つの文字のように考えるんじゃ
つまり、
\( ab(x - y) \)の項は、共通因数「 \( a(x - y) \) 」とそれ以外のかけ算
『 \( a(x - y) \) ×(共通因数以外①)』
のように考えるんじゃ
(このときの(共通因数以外①)は、b のことじゃ)
\( a(y - x) \) も同じように考えて、
『 \( a(x - y) \) × (共通因数以外②) 』
((共通因子以外②)は -1 じゃな)

それぞれの項を、共通因数とそれ以外の部分に、わけて考えればいいんですね!

そのとおりじゃ
もとの式で考えてみよう。すると、
\( ab(x - y) - a(x - y) \)
\( = a(x - y) ×(共通因数以外①) + a(x - y) × (共通因数以外②) \)
の形をしておるじゃろぅ
これは以下のように、共通因数をつかって、くくることができるわけじゃ
\( = a(x - y) × \{(共通因数以外①) + (共通因数以外②) \} \)
となるわけじゃ。
(共通因数以外①)と(共通因数以外②)は、
それぞれ、b と -1 なので、元に戻すと、
\( = a(x - y) × (b - 1) \)
となる。

なるほど!複雑な式でも、
共通因数以外を1つの文字のように考えればいいんですね!

そのとおりじゃ
では、まとめるかのうぉ
「 \( ab(x – y) + a(y – x) \) を因数分解してください」
の計算としては、
\( ab(x – y) + a(y – x) \)
\( = ab(x – y) - a(x – y) \)
\( = a(x – y) (b-1) \)
とすればオッケーじゃ

ちなみに、今回の解説ではていねいに書いたが、
なれてきたら、書かずにぶつぶつ言いながら、
解答のように、サクッと解いてくれたらオッケーじゃ

ぶつぶつ言いながら解くってなんかこわいですよ笑

まわりに人がいないことを確認するのじゃな笑
というわけで、今回の解説はおわりじゃ

ありがとうございました!

どういたしまして!
復習しておくとよい内容

今回の復習は、以下の記事がおすすめにゃん
「共通因数で、くくる」を理解する
『【数学】「共通因数」で「くくる」とは?なぜする必要があるの?【中学数学 因数分解】』
「項(こう)」を理解するなら、こちらの記事がおすすめです↓
『【数学】文字を使った式の「項(こう)」と「係数(けいすう)」とは?【入門・基礎問題・ 中1・文字と式11】』
「たす=反対の符号をひく」を理解するならこちら↓
『【数学】「正の数・負の数」の基礎を学びたいあなたにチェックしてほしい内容と動画、4つはこちらです【入門・基礎問題・ 中1・正負の数1】』

ちなみに、こちらの動画は、
『「ー」は、(-1)をかけ算するのと同じ』に関係したものだにゃん

ありがとうございます!復習してみます!

ではザピエルくん、あとお願い!


あ、先生!告知をさせてください

おーそうじゃった

実はいろんなお悩みを聞いているんです

勉強しなきゃって思ってるのに、思ったようにできないクマ

わからない問題があると、やる気なくしちゃう

1人で勉強してると、行きずまっちゃうブーン

誰しもそんな経験があると思います。
実は、そんなあなたが
勉強が継続できる
成績アップ、志望校合格できる
勉強を楽しめるようになる
ためのペースメーカーをやっています。
あなたの勉強のお手伝いをしますってことです。
具体的にはザピエルくんに説明してもらうかのぉ
ザピエルくんお願い!

はい先生!
ペースメーカーというのは、
もしもあなたが、
- やる気が続かない
- 励ましてほしい
- 勉強を教えてほしい
なら、私たちが、あなたのために、
一緒に勉強する(丸つけや解説する)ことをやりながら、
あなたの勉強をサポートするという仕組みです。
- やる気を継続したい
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といったあなたに特にオススメです。
できるだけ楽しみながら勉強できるように工夫しています。
ご興味のあるあなたは、詳しことはこちらにありますので、よかったらどうぞ↓
「【中学生 高校生 社会人】勉強のペースメーカーはいかがでしょう【受験 入試 資格試験】」
不明な点があったら、お気軽にお問い合わせください

というわけで、ザピエルくん、あとはお願い!


「中学数学」を学んだりやり直しならこちらの本がおすすめだにゃん
『【数学】中学数学を独学したい、やり直したいあなたにおすすめの参考書や問題集はこちらです【中学数学 高校数学 数学検定】』



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