
今回は、こんな質問をいただきました!
[mathjax]

\( (x – 3)(x – 2)(x + 4)(x + 5) – 60 \)
を因数分解してください!

複雑な式の因数分解ですね
では先生、お願いします!

ザピエルくん、ありがとう
今回の因数分解は、ふつうに展開すると、4次式が登場しそうだのぉ
4次式の因数分解は高校2年生くらいで習う内容なんじゃ
しかし、あるテクニックを使うことで、
中学生でも解ける問題に変わるんじゃよ

え!そんなテクニックがあるんですか!
教えてほしいです!

そのテクニックは、「おきかえ」といわれるものじゃ
くわしくは下で解説するんじゃが、
数式というのは、そのまま計算せずに、
工夫することで、自分が解ける問題に変えることができるんじゃよ
今回は、「因数分解の計算における工夫」がテーマというわけじゃ

ただ計算するんじゃなくて、
式の特徴をみながら、工夫して計算するわけですね!

そのとおりじゃ
けれど、いざ工夫しよう!
と思っても、
どうやって、工夫したらいいの?
となるのが多いのではないかのぉ

そうなんですよ!
工夫の「具体的なやり方」を教えてもらえるとうれしいです!

そうじゃな
そこで今回は、与えられた式について、
なんとなくでなく、
式のどこに、どのように注目するのが役立つか
解説しようと思っておるんじゃ

今回の記事を読めば、
①、4次式の因数分解などでよく使う「おきかえ」について理解出来る
②、与えられた式のどういうところに着目すればいいのかわかる
というメリットがあるわけですね

そのとおりじゃ
では解説をはじめるかのぉ
【数学 質問解答】複雑な因数分解でよく使う、テクニックとは?【因数分解 数学】

まずは解答を知りたい方向けに、解答例を示すかのぉ

\( (x – 3)(x – 2)(x + 4)(x + 5) – 60 \)
\( = (x – 3)(x + 5)(x – 2)(x + 4) – 60 \)
\( = (x^2 + 2x – 15)(x^2 + 2x – 8) – 60 \)
ここで \( A = x^2 + 2x \) とおくと、
\( (x^2 + 2x – 15)(x^2 + 2x – 8) – 60 \)
\( = (A – 15)(A – 8) – 60 \)
\( = A^2 – 23A + 120 – 60 \)
\( = A^2 – 23A + 60 \)
\( = (A – 3)(A – 20) \)
Aを元に戻して
\( (A – 3)(A – 20) \)
\( = (x^2 + 2x – 3)(x^2 + 2x – 20) \)
\( = (x + 3)(x – 1)(x^2 + 2x – 20) \)
となり、これで答えじゃ

「おきかえる」ってのがポイントみたいですね

そのとおりじゃ
おきかえ ⇒ もとにもどす
これがポイントじゃ
では、詳しく解説していくかのぉ
その前に、この問題をどう解いたか聞かせてもらえるかの

はい!
じつは、計算したんですが、とちゅうで、できなくなってしまったんです

どう計算したのかな?みせてくれるかい?

はい!
\( (x – 3)(x – 2)(x + 4)(x + 5) – 60 \)
\(= (x – 5x + 6)(x + 4)(x + 5) – 60 \)
\(= (x^2 – 5x + 6)(x^2 + 9x + 20) – 60 \)
\(= x^2(x^2 + 9x + 20) – 5x(x^2 + 9x + 20) + 6(x^2 + 9x + 20) – 60 \)
\(= x^4 + 9x^3 +20x^2 – 5x^3 – 45x^2 -100x + 6x^2 + 54x + 120 – 60 \)
\(= x^4 + 9x^3 – 5x^3 +20x^2 – 45x^2 + 6x^2 -100x + 54x + 120 – 60 \)
\(= x^4 + 4x^3 – 16x^2 -46x + 60 \)
ここで ??? となってしまいました(汗

なるほど
以下のように展開たわけじゃな
\( (x – 3)(x – 2)(x + 4)(x + 5) – 60 \)
とりあえず、前2つを展開したんじゃな
\(= (x – 5x + 6)(x + 4)(x + 5) – 60 \)
つぎに後2つを展開したんじゃな
\(= (x^2 – 5x + 6)(x^2 + 9x + 20) – 60 \)
式展開じたいはきちんとできておるのぉ

よかったです!

計算自体は間違っていないんじゃがのぉ
このまま展開してしまうと、
式が4次式になりそうだなぁ~
と、計算をする前に、予想してほしいんじゃ
応用問題は、先をみとおしながらやるのが重要なんじゃ
まず先を見通す。その後、計算する

前もって、4次式になりそうって考えてなかったです~

なるほどのぉ
複雑な式になればなるほど大事なことは、
その計算をしたらどうなりそうか、
計算はする前に予想しながらやるのが大事なんじゃ

なぜですか?

なぜかというと、
複雑な式の計算は、変形のやり方がいくつもあるわけじゃ
一本道なら迷わないが、いくつもの分岐した道があるようなものじゃ
先をみとおしながら計算することで、
間違った道に進むのを未然に防げるわけなんじゃ
間違うことは悪くないんじゃが、
書いておると時間がかかるじゃろ
テストでは時間制限があるから、書かずに、
頭の中で、ざっくり予測できるようになっておくのが役立つんじゃ

なるほどです!

では話を元に戻すかのぉ
\( (x – 3)(x – 2)(x + 4)(x + 5) – 60 \)
の因数分解を考えておったわけじゃ
そして、計算を進める前に、この式がどんな特徴があるかみてみたいわけじゃ
この式の場合では、4次式になることまで見通せたわけじゃ

でも、なぜ、計算しないで、4次式になるってわかったんですか?

それはこんな感じで考えたらいいんじゃよ
たとえば、1次の項を2個かければ、2次式になるじゃろ?
こんな感じじゃ
\( 2x × 3x = 6x^2 \)

はい!

1次の項だったのが、1次の式になっても、同じことなんじゃ
1次の式のかけ算だとこんな感じじゃろ?
\( (x+1)(x+3) = x^2 + 4x +3 \)
って感じで、
(1次式)×(1次式)は、(2次式)
となるわけじゃ

あーなるほど!

これと同じ感覚で、
(1次式)×(2次式)は、(3次式)になる
(2次式)×(2次式)は、(4次式)になる
というのがわかるわけじゃ

なるほどです!

問題の式をみてみると、
\( (x – 3)(x – 2)(x + 4)(x + 5) – 60 \)
じゃな
上のことをふまえると、この式は
(1次式)×(1次式)×(1次式)×(1次式)
の形をしておるじゃろ
(1次式)×(1次式)=(2次式)
(2次式)×(1次式)=(3次式)
(3次式)×(1次式)=(4次式)
となるわけじゃ
(1次式)×(1次式)×(1次式)×(1次式)
は、
(4次式)
になりそうじゃ
といった感じで、式の形をみることで、結果の式を予想できるわけじゃ

なるほど!
複雑な式ほど、さきを見通しながら、進めていくことが大事なんですね!

そのとおりじゃ
さきを見通すことで、軌道修正がしやすいわけじゃな
展開すると4次式になるなぁ~ってわかったら、
その先は、4次式の因数分解をしなければいけない!
と考えることができるじゃろ
すると、4次式の因数分解はできないから、
なにか他の方法を考えなきゃ!
となるわけじゃ

そうですね!
でも、どう考えればいいんですか?
高次式(こうじしき)と次数下げ(じすうさげ)とは?

数学の考え方の1つに、「次数下げ(じすうさげ)」というのがあるんじゃ
式は、0次式、1次式、2次式、3次式、4次式、・・・・
という感じで、
次数に着目して考えることがあるんじゃ
これは重要な考え方じゃから、頭の片隅に入れておいてほしい
ちなみに、3次式以上の式は、高次式(こうじしき)と呼ばれたりしておるんじゃ

今回の式は、4次式だから、高次式なんですね!

そのとおりじゃ
数学では、定番の考え方の1つに、
高次式の時には、「次数を下げる」ことを考える
というのがあるんじゃ
この考え方を理解していれば、
高次式だから、次数を下げるような工夫が出来ないかな?
と発想することができるわけじゃ

なるほどです!

そして、次数下げの方法の1つに、「おきかえ」があるわけじゃ
じゃから、おきかえを使って、次数を下げれないかなぁ?
という発想で、問題の式を眺めてみるわけじゃな

解答にはないですが、背景には、そんな考え方があったのですね!

そうなんじゃよ
この問題では、
\( (x – 3)(x – 2)(x + 4)(x + 5) – 60 \)
の式をそのまま計算するのではなく、
\( = (x – 3)(x + 5)(x – 2)(x + 4) – 60 \)
かけ算の順番をかえてから展開するんじゃ
これが最大のポイントじゃ

なぜ、かけ算の順番を変えるのですか?

なぜそうするかというと
すると、以下のようになるわけじゃ
\( = (x^2 + 2x – 15)(x^2 + 2x – 8) – 60 \)
ここで、(2次式)×(2次式)になったんじゃが、
どちらの2次式にも、\( x^2 + 2x \) が出てくるわけじゃ

なるほどです!

でも、わざわざ順番を変えて展開するのに、
どんなメリットがあるんですか?

\( (x^2 + 2x – 15)(x^2 + 2x – 8) – 60 \)
この式の、xがある部分をみてほしいんじゃ
xがふくまれた部分は、問題の式の中で、
\( x^2 + 2x \) の部分だけになっておるじゃろ
つまり、\( x^2 + 2x \) を何か別の文字に置き換えたら、
xの式から、置き換えた別の文字の式に変えることができるわけじゃ

え?どういうことですか?

xの式として考えると、4次式だったわけじゃが、
たとえば、
\( A = x^2 + 2x \)
のようにすれば、
xの2次式を、Aという1次式にするってことができるんじゃ

なるほど!

すると、
\( (x^2 + 2x – 15)(x^2 + 2x – 8) – 60 \) について
\( A = x^2 + 2x \) とおきかえると、
\( (A – 15)(A – 8) – 60 \)
となるわけじゃ
この式は、何次式になるかわかるかな?

えっと〜
\( (A – 15)(A – 8) – 60 \)
この式は、(1次式)×(1次式)なので、2次式になりそうですね!

そのとおりじゃ
xの式では4次式になって、手に負えなかったんじゃが、
Aの2次式になったわけじゃ

そうですね!
2次式の因数分解なら、習ったのでできそうです!

そうじゃな
ここまで出来れば、他の問題と同じじゃから
多くは説明する必要がないかもしれんのぉ
ここで一度まとめておくかのぉ

はい!

この問題では、まず最初に、
普通に展開すると、4次式になるから、
他の方法がないかな?
と考えるわけじゃ
高次式(4次式)なので、
「おきかえ」て「次数を下げる」ことができないかな?
と考えながら式を眺めてみるわけじゃ
すると、
かけ算の順番を入れかえて、
どちらの2次式にも、\( x^2 + 2x \) が出てくることに気づいてほしいんじゃ
加えて、文字xはその部分だけに限られている形なわけじゃ
そこで
1つの文字でおきかえれば、次数が下がる
やってみよう!
と考えるわけじゃ
では、続きの計算をやってみてごらん

はい!
\( (A – 15)(A – 8) – 60 \)
\( = A^2 – 23A + 120 – 60 \)
\( = A^2 – 23A + 60 \)
\( = (A – 3)(A – 20) \)
ここまで出来ました!

ここまできたら、
Aという文字は、問題には出てきていない、自分で勝手に使った文字じゃ
だから、問題にある文字に戻さないとダメなんじゃな
それを忘れないように気をつけるんじゃ

はい!
Aを元に戻して
\( (A – 3)(A – 20) \)
\( = (x^2 + 2x – 3)(x^2 + 2x – 20) \)
これで答えですか?

きちんと計算できておるよ
ただし、
因数分解はできるところまでやる
というのがルールなんじゃ
じゃから、
\( (x^2 + 2x – 3)(x^2 + 2x – 20) \)
2つある( )の中の2次式が、
それぞれ因数分解できないか調べてみる必要があるんじゃ

なるほどです!
じゃあ考えてみると、
\( (x^2 + 2x – 3) \) は、因数分解できそうです!
\( (x^2 + 2x – 3) = (x + 3)(x – 1) \)
\( (x^2 + 2x – 20) \) は、因数分解できないようです!
だから、
\( (x^2 + 2x – 3)(x^2 + 2x – 20) \)
\( = (x + 3)(x – 1)(x^2 + 2x – 20) \)
でいいんですか?

大正解じゃ
これ以上因数分解できないので、ここで答えにしてオッケーじゃ
ただし厳密にいうと、高校生になると、まだ因数分解できるんじゃ
だから、ここでは中学生の範囲で因数分解できない、ということじゃな
高校生なら、もう一段階、因数分解してほしい
答えは
\( (x + 3)(x – 1)(x^2 + 2x – 20) \)
\( = (x + 3)(x – 1)(x – 1+ \sqrt41)(x – 1- \sqrt41)\)
となる

なるほどです!
①、おきかえて次数を下げて、2次式にして因数分解
②、因数分解は、できるところまでする
この2点が重要なんですね!

そのとおりじゃ
今回の解説はこのくらいじゃ
高次式は次数下げを考える!
これはとても重要な指針じゃから、頭の片隅に残しておいてほしいんじゃ
お〜い、ザピエルくん!あとお願い



あ、先生!告知をさせてください

おーそうじゃった

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具体的にはザピエルくんに説明してもらうかのぉ
ザピエルくんお願い!

はい先生!
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というわけで、ザピエルくん、あとはお願い!


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