
今回は、こんな質問をいただきました!
[mathjax]

\( x^3 + 3xy + y^3 - 1 \) を因数分解してください!

今回は、3乗が含まれているようですね
では先生、お願いします!

ザピエルくん、ありがとう!
今回は「3乗を含んだ因数分解」じゃな
①、「3乗の因数分解」を扱うには、「3つの公式」を知っておくことが大事じゃ
②、それプラス、今まで学んだ考え方を組み合わせるのもポイントじゃ
これがわかっていれば、こわいものはないぞ

なるほどです!

では、今回の記事を読むと、
①、3乗の関係する公式を理解できる
②、因数分解の考え方と、①の公式を組み合わせることができるようになる
というメリットがあるんですね!

そのとおりじゃ
では、解説をはじめるとするかのぉ

はい!お願いします!
【数学 質問解答】3乗をふくんだ式の因数分解【高校数学 数A 因数分解】
解答例

まずは結果だけ知りたい方のために、
答えから先に示しておくかのぉ
ちなみに、この問題の解き方は、少なくとも3つあるんじゃが、
そのうち最短で解ける解き方を示しておくかのぉ
他の2つの解法も下で示すから、比べてみると面白いかと思う

\( x^3 + 3xy + y^3 - 1 \)
\( = (x + y -1)(x^2 + y^2 + (-1)^2 - xy - b (-1) - (-1)x) \)
\( = (x + y -1)(x^2 + y^2 + 1 - xy + y + x) \)
\( = (x + y -1)(x^2 - xy + y^2 + x + y + 1 ) \)
となり、これが答えじゃ
最後の式変形で、右側の( )の中は、
(2次の項)+(1次の項)+(0次の項)
のように整理したんじゃ
ここまでしなくても正解だとは思うが、
見た目がスッキリしておると、採点者も○つけやすいんじゃ

採点者の気持ちになって、解答をつくるといいよ!って
学校の先生も言ってました!

そのとおりじゃ
採点者は1日、何十何百もの答案をみるんじゃ
つまり、採点者は疲れておる。
記述式では、部分点などがあるから、採点者にわかりやすく書くのは大事じゃぞ
それでは、解説をしていこうかのぉ
【公式①】3乗をふくんだ式の因数分解

【公式①】3乗をふくんだ式の因数分解
\( a^3 + b^3 + c^3 - 3abc \)
\( = (a + b + c)( a^2 + b^2 + c^2 -ab -bc - ca) \)

なんか複雑な公式ですねぇ~

そうじゃな
最初は見ながらでもいいから、
1つひとつ間違えないように書くことから始めるんじゃ
複雑じゃから、符号や2乗や3乗とか気をつけるんじゃぞ

わかりました!
つぎは、どうすればいいんですか?
公式がつかえるか、判断する

次は、公式が使えるかどうかを考えるんじゃ
大学入試などでは、
①、まず公式を思いつく
②、それが使えるか確かめる
③、使えるなら、使って因数分解
の流れで解くんじゃ
今回の記事では、①はこちらで示したから、②と③をやるわけじゃ

公式と、問題の式を、よ~く見比べてみてほしい
問題は、 \( x^3 + 3xy + y^3 - 1 \)
公式は、 \( a^3 + b^3 + c^3 - 3abc \)

項が4つで同じだし、3乗もいくつかあって、なんか似てますネ!

そうじゃな
因数分解の問題は、公式と対応しているか、
1つひとつ、シッカリ確認することが大事じゃ
問題の式をちょっと変えてみるのもポイントじゃ
\( x^3 + 3xy + y^3 - 1 \)
\( = x^3 + y^3 + (- 1)^3 - 3xy×(-1) \)
となるじゃろ
公式は、 \( a^3 + b^3 + c^3 - 3abc \) じゃ

あ、もしかして、公式がつかえるかも!

そのとおりじゃ
でも、ここであせってはいかんぞ
1つひとつ、シッカリ確認する、というのが、大事なんじゃ

具体的には、どう、確認すればいいんですか?

いい質問じゃ
\( = x^3 + y^3 + (- 1)^3 - 3xy×(-1) \)
と公式、 \( a^3 + b^3 + c^3 - 3abc \) が似てるなぁ
と思ったら、対応関係を調べるんじゃ

対応関係を調べるって、具体的に、どうすればいいんですか?

公式の文字に、なにかを代入して、問題の式になるかを確認すればいいんじゃ
\( a = x, b = y, c = -1 \) じゃないかなぁ
と考えたら、公式に代入して、
問題の式と同じになるか確かめればオッケーじゃ。
ちなみに、a とx、bとy、cと-1という関係を対応関係といったんじゃ。

なるほどです!
じゃあ、これを公式に代入して、問題の式になるか、たしかめればいいから、
\( a^3 + b^3 + c^3 - 3abc \) に、
\( a = x, b = y, c = -1 \) を代入すると、
\( = x^3 + y^3 + (- 1)^3 - 3xy×(-1) \)
\( = x^3 + 3xy + y^3 - 1 \)
となって、問題の式と一致しました!!

一致したということは、公式が使える!と判断できるんじゃ

なるほどです!
こうやって、公式が使えるかどうか確かめればいいんですネ!

そのとおりじゃ
確認できたら、あとは公式を使うだけじゃ
問題を解けたようなもんじゃ
因数分解を実行する

では、公式をつかって、因数分解をやってみるんじゃ

えっと、
\( a^3 + b^3 + c^3 - 3abc \)
\( = (a + b + c)( a^2 + b^2 + c^2 -ab -bc - ca) \)
だから、
\( a = x, b = y, c = -1 \) を使うと、
\( x^3 + 3xy + y^3 - 1 \)
\( = x^3 + y^3 + (- 1)^3 - 3xy×(-1) \)
\( = \{x + y + (-1) \} { x^2 + y^2 + (-1)^2 -xy -y(-1) - c(-1) \} \)
\( = (x + y -1)( x^2 + y^2 + 1 -xy + y + x) \)
\( = (x + y -1)( x^2 -xy + y^2 + x + y + 1 ) \)
でいいんですか!?

大正解じゃ
これで3乗の公式の1つめはマスターじゃな

はい!うれしいです!
ちなみに、別解はどんな感じなのですか?

そうじゃな、では別解の解説にいくかのぉ
別解①:別の3乗の公式をつかう

公式②:3乗をふくんだ式の因数分解
\( a^3 + b^3 = (a + b)(a^2 - ab + b^2) \)
\( a^3 - b^3 = (a - b)(a^2 + ab + b^2) \)

あ、この公式みたことあります!

この式は、3乗をふくむ、2つの文字の式の因数分解で、よく使われる式じゃな
今回の問題は、3つの文字の式だったから、最初の公式を使ったんじゃ。
でも、今回の問題は、2つの文字の式とみてもいいわけじゃ
だから、この公式でも因数分解できるんじゃ

なるほどです!

ではやってみるかのぉ
\( x^3 + 3xy + y^3 - 1 \)
\( = x^3 + y^3 + 3xy - 1 \)
\( = (x + y)(x^2 - xy + y^2) + 3xy - 1 \)

上の公式を、つかったんですネ!
でも、ここから、どうすればいいんですか?
式の特徴に着目する:対称式は基本対称式で考える

ここで、別のポイントから式をみてみるんじゃ
\( (x + y)(x^2 - xy + y^2) + 3xy - 1 \)
という式は、x と y を入れかえても、もとの式と同じになるじゃろ?

ほんとですか?
\( (x + y)(x^2 - xy + y^2) + 3xy - 1 \)
の式の、xとyを入れかえてみると、
\( (y + x)(y^2 - yx + x^2) + 3yx - 1 \)
あ、これ同じですね!

そうなんじゃ
このように、2文字の式で、その2文字をいれかえても、
元の式と同じになる式のことを、
「対称式(たいしょうしき)」というんじゃ

たいしょうしき・・・

とりあえず、そう呼ぶんだと思ってくれたらオッケーじゃ
大事なのは、次のポイントじゃ
対称式は、基本対称式で考えるといい
ということなんじゃ

きほんたいしょうしき・・・?

ちょっと整理しておこうかのぅ
なにか式があって、2つの文字(xとy)があるとするぞ
xとyを入れかえても、元の式と同じになるのが、「対称式」じゃ
そして、2つの文字の和と積、
つまり、この場合、x+y と xy のことを、「基本対称式」と呼ぶんじゃ

なるほど!
ということは、
2文字の対称式があったら、2文字の和と積を1文字のように考えるといい
ってことですか??

そのとおりじゃ!
ことばだけだとわかりにくいから、
今回の問題で具体的にみてみるかのぉ

いま
\( (x + y)(x^2 - xy + y^2) + 3xy - 1 \)
まで変形しておったわけじゃ
この式は、2文字、xとyの対称式じゃな
だから、x+y と xy の基本対称式で考えるといいかもしれない?
と発想するんじゃ

なるほど!
\( (x + y)(x^2 - xy + y^2) + 3xy - 1 \)
でも、 \( x^2 + y^2 \) の部分は、基本対称式でないですよ!

そのとおりじゃ!
だから、 \( x^2 + y^2 \) の部分を、
基本対称式を使った形に変形できないか?
と考えるわけじゃ

なるほどです!
\( x^2 + y^2 \)
\( = (x + y)^2 -2xy \)
とすればいいのですか??

そのとおりじゃ!
この式は、展開公式
\( (x + y)^2 = x^2 + 2xy + y^2 \)
を変形して、
\( x^2 + 2xy + y^2 = (x + y)^2 \)
\( x^2 + y^2 = (x + y)^2 - 2xy \)
としたわけじゃな
では、これを使って、問題の式を変形してごらん

えっと~
\( (x + y)(x^2 - xy + y^2) + 3xy - 1 \) に
\( x^2 + y^2 = (x + y)^2 - 2xy \) を使うから、
\( (x + y)(x^2 - xy + y^2) + 3xy - 1 \)
\( = (x + y) \{ (x + y)^2 - 2xy - xy \} + 3xy - 1 \)
\( = (x + y) \{ (x + y)^2 - 3xy \} + 3xy - 1 \)
\( = (x + y)^3 - 3xy(x + y) + 3xy - 1 \)
ここまで、できました!
次は、どうすればいいんですか!?

「2文字の対称式があったら、2文字の和と積を1文字のように考えるといい」
の発想にしたがって、変形してきたわけじゃ
そこで、みやすいように、
x+y = A
xy = B
のように、1文字で書いてみてごらん

\( (x + y)^3 - 3xy(x + y) + 3xy - 1 \)
\( = A^3 - 3AB + 3B - 1 \)
となりました!

すると、
\( A^3 - 3AB + 3B - 1 \)
を因数分解する問題に変わったわけじゃ
複数の文字の式の因数分解の基本は、低い次数の文字について整理する

\( A^3 - 3AB + 3B - 1 \)
を因数分解するには、・・・?

ここで、複数の文字をふくんだ式の
因数分解の基本の考え方を思い出すんじゃ
次数が低いBについて整理すればいい!となるわけじゃ

なるほど!
\( A^3 - 3AB + 3B - 1 \)
\( = - 3AB + 3B + A^3 - 1 \)
\( = - 3B(A-1) + A^3 - 1 \)
\( = - 3B(A-1) + (A - 1)(A^2 + A + 1) \)
\( = (A - 1)(- 3B + A^2 + A + 1) \)
これ以上できなさそうです!

そのようじゃな!
\( - 3B(A-1) + A^3 - 1 \)
\( = - 3B(A-1) + (A - 1)(A^2 + A + 1) \)
の変形では、上の公式②の下の式をつかったんじゃな

はい!そうです!

では、あとは自分で使った文字AとBは、元にもどしておくんじゃ

A = x + y
B = xy
だったので、
\( (A - 1)(- 3B + A^2 + A + 1) \)
\( = (x + y - 1)(- 3xy + (x + y)^2 + x + y + 1) \)
\( = (x + y - 1)(- 3xy + x^2 + 2xy + y^2 + x + y + 1) \)
\( = (x + y - 1)(x^2 - xy + y^2 + x + y + 1 ) \)
となりました!

大正解じゃ!
最初の公式①を使った結果と一致しておるな

はい!うれしいです!

このように、
- 因数分解の公式
- 対称式の扱い方
- 低い次数の文字に着目する(因数分解の基本的な考え方)
を組み合わせて解けたわけじゃ

なんかおもしろいですね!
ちなみに、もう1つ別解があるんですか?

では、さらに別解を解説するかのぉ
別解②:さらに別の公式をつかう

式変形の定番
\( a^3 + b^3 = (a + b)^3 - 3ab(a + b)
\( a^3 - b^3 = (a - b)^3 + 3ab(a - b)

なんですか、これ???

この式は、「3乗の展開公式」からきてるんじゃ
\( (a + b)^3 = a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 \)
左右をいれかえて、
\( a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 = (a + b)^3 \)
\( a^3 + b^3 = (a + b)^3 - 3a^2b - 3ab^2 \)
\( a^3 + b^3 = (a + b)^3 - 3ab(a + b) \)
となるわけじゃ
\( a^3 - b^3 = (a - b)^3 + 3ab(a - b) \)
も同じようにして出てくるぞ

なるほどです!
この式を、どう、使うんですか?

では、やってみようかのぉ

問題の式は \( x^3 + 3xy + y^3 - 1 \) じゃったな
\( x^3 + 3xy + y^3 - 1 \)
\( = x^3+ y^3 + 3xy - 1 \)
\( = (x + y)^3 -3xy(x + y) + 3xy - 1 \)
となるじゃろ

あ、この式、上の別解①の途中に出てきてました!

そのとおりじゃ、よく覚えていたのぉ
じゃから、この先は、別解①と同じ手順でやればできるわけじゃ

このように、2文字の3乗の式とみなすときには、
別解①と②の2パターンがあるわけじゃな
今回は、途中からどちらも同じ式になっていたというわけじゃ

なるほどです!
一番かんたんだったのは、やっぱり3文字の3乗の公式を使う場合でしたね!

そうじゃな
出題者の意図としては、3文字の3乗の公式を見抜けますか?
という問題じゃろうな
ただ、それを知らなくても、
2文字の3乗の公式と、基本的な考え方を使うことで解ける
という問題じゃったわけじゃ
入試などでは時間に限りがあるから、おすすめはしないんじゃが、
数学の思考力をつけるという意味では、
1つの問題をいろいろな角度からみて、別解を考えるのはおすすめじゃ

なるほどです!
別解を知ることで、最初の解答が頭に残る気がします!

そうじゃな
ヒトの記憶というのは、
似たものを比較することで、覚えやすくなる特徴もあるんじゃ
じゃから時間に余裕があれば、ぜひ別解を考える時間をとってみるとよいぞ

わかりました!

では今回はこのくらいにするかのぉ
にゃんこくん、復習しておくとよい記事をお願い!

は~い、先生!
因数分解の基本的な考え方は、こちらの記事がおすすめにゃん
『【数学 質問解答】高校生の因数分解(2つの文字を含んだ式)【高校数学 数A 因数分解】』
今回のような、式の対称性に注目した因数分解の記事はこちらだにゃん

にゃんこくん、ありがとう!
お~い、ザピエルくん、あとはお願い!


あ、先生!告知をさせてください

おーそうじゃった

実はいろんなお悩みを聞いているんです

勉強しなきゃって思ってるのに、思ったようにできないクマ

わからない問題があると、やる気なくしちゃう

1人で勉強してると、行きずまっちゃうブーン

誰しもそんな経験があると思います。
実は、そんなあなたが
勉強が継続できる
成績アップ、志望校合格できる
勉強を楽しめるようになる
ためのペースメーカーをやっています。
あなたの勉強のお手伝いをしますってことです。
具体的にはザピエルくんに説明してもらうかのぉ
ザピエルくんお願い!

はい先生!
ペースメーカーというのは、
もしもあなたが、
- やる気が続かない
- 励ましてほしい
- 勉強を教えてほしい
なら、私たちが、あなたのために、
一緒に勉強する(丸つけや解説する)ことをやりながら、
あなたの勉強をサポートするという仕組みです。
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ご興味のあるあなたは、詳しことはこちらにありますので、よかったらどうぞ↓
「【中学生 高校生 社会人】勉強のペースメーカーはいかがでしょう【受験 入試 資格試験】」
不明な点があったら、お気軽にお問い合わせください

というわけで、ザピエルくん、あとはお願い!


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